20年後の自分は?/ライフデザイン講座

 県事業の「次代を担う若者のライフデザイン講座」が25日、本校で開かれました。普通科生活文化コースの2年生が結婚や妊娠・出産、子育てなどに関する知識を学び、自らが希望する将来を具体的にイメージする時間を持ちました。

 講師は、事業を受託している認定NPO法人わははネットの小出優季副理事長と多田裕美さん。講座の概要をまとめました。

■ネガティブな情報だけで判断しない

 「子育てにどんなイメージを持っていますか?」。小出さんのこんな問い掛けで講座はスタート。生徒からは「夜泣きをあやすのが大変そう」「ずっと相手をしないといけない」などネガティブなイメージが出された一方、「大変そうだけど、癒やしをもらえる」との声も。二児の母親の多田さんは、育児の苦労を話したうえで「でも、子どもは本当に宝物。笑顔を見るだけでエネルギーが湧いてきて、幸せを感じます」。

 小出さんは子育てを取り巻く環境が、大家族→核家族・専業主婦→核家族・共働きと変遷し、両親にかかる負担が増えたため「子育ては大変」という情報があふれていると指摘。近年は保育所の整備や子育て支援団体の活動など社会全体で子どもを育てる環境が整ってきているとして「これからは、いろんな人に子育てを助けてもらう時代。子育ては大変というニュースだけで判断せずに、良い情報も悪い情報も聞いて将来を選択してほしい」と呼びかけました。

■「山登り型」と「川下り型」

 続いての質問は「あなたにとって後悔しない人生とは?」。生徒の答えは「周りが楽しくて、自分も楽しい人生」「自分の好きなことがやれる人生」など。小出さんは「自分が楽しいと感じることは何か、ワクワクすることは何かを問いかけながら自分で選択していくことがライフデザインの根幹」と述べ、自ら描き、選び取るための2つのパターン「山登り型」(目標を先に定め、ゴールに向かって一つ一つ積み重ねていく)と「川下り型」(目の前のことに一生懸命に取り組みながら、経験やスキルを積んでいく)を紹介。

 そのうえで「前者の場合、目標にとらわれすぎると苦しくなる。そんな時は、自分が本当に望んでいる目標なのか考えてみてほしい。後者の場合は、(周囲の状況に)流されるだけでなく、主体的に選択し取り組むことが大事」とアドバイスしました。

 ■妊孕力

 講座の中では、助産師会の「妊孕性」に関するメッセージ動画も紹介されました。「妊孕性(にんようせい)」は、妊娠し、健康に出産することができる能力。動画では、年齢や生活習慣、環境の影響を受けることが紹介され、「少し先の未来を見据えて健康管理を。喫煙や過剰なアルコール摂取、過度なダイエットは避けてください」と呼びかけました。

■20年後の自分を想像してみよう

 講座の締めくくりは、20年後の自分を想像してみる「タイムマシンワーク」。ペアになった生徒が互いに「どこに住んでいますか」「何をしていますか」「仕事は?」「家族は?」と尋ね合う形式。生徒たちは「うーん、難しい」と思案投げ首状態でしたが、まだ見ぬ未来の自分に少しずつ想像をめぐらしているようでした。小出さんは「将来の姿を少しでも思い浮かべることで、イメージが具体化してくるはず。繰り返しになりますが、後悔しない人生を送るために、自分はどうしたいのか、自分で考え、自分で選択し、行動してほしい」と結びました。

 足元の進路選択を控えた生徒にとって、視野を広げて将来を考える良い機会になりました。小出様、多田様、ありがとうございました。