久保 彰紀さん(30)レクザム生産本部第1開発部(平成24年度普通科特別進学コース卒業)

  • ●課外授業のおかげで志望大学へ

 もともと理数系が得意で、特進コースから香川大学工学部(現創造工学部)に進学し、電子情報工学科でソフトについて勉強しました。ネットワーク系の知識やプログラミングの知識を応用してどんなことができるのかを探究していく領域です。さらに大学院修士課程に進んで、専門的な知識を深めました。

 志望の大学に進めたのは、特進コースの課外授業のおかげです。ほぼ毎日の課外はかなりハードでしたが、もともと、やれと言われないとやらないタイプだったので、否応なくやらざるをえない課外は僕にピッタリ。成績がぐんぐん上がりました。授業のスタイルも板書をひたすら書き写すんじゃなくて、先生が出す問題を自由に解いていくやり方。当時、理系の課外は2人と少人数でしたから、リラックスした状態で学習できました。時折、先生が紅茶やお菓子を出してくれたりして。アットホームな雰囲気で、楽しかったです。  

 

  • ●仕事で大切にしているのはコミュニケーション

 今の会社を就職先に選んだのは、さまざまな製品を作っている間口の広い会社だったから。会社勤めをするなら、いろんなことをやってみたいと思っていたので、知名度もあるレクザムを選びました。

 現在は眼科医療機器の中の検査機器の開発に携わっています。仕事で心がけているのは、コミュニケーション。僕の専門は光学ですが、他にソフトウエア、電気、メカの計4分野を統合して開発を進めていて、意見のすり合わせがとても重要です。さらに言うと、開発して終わりじゃなくて、販売やその後の対応も考えると営業や品質管理の担当者とも常に意思の疎通を図っておく必要があります。互いの齟齬(そご)を少なくするよう、社内のコミュニケーションを積極的にとるように努めています。

 やりがいですか? 新製品開発の担当になったことで、広い視点で仕事を見る機会が増えたことですね。スケジュールや予算などの制約を調整しながら、全体を俯瞰(ふかん)して物事を進めていく。いい経験をさせてもらっていると感じていますし、この経験を生かして社会に役立つ製品を送り出したいと思っています。

*井関裕司第1開発部長のコメント=理系は専門特化型のタイプの人が多いんですが、久保さんはバランスが良く、誰とでも話が出来て仕事を進めていける全方位型。周囲が率直に意見を言ってくれるというか、言いやすいタイプ。懐の深さがあるんじゃないかな。貴重な人材です。

 

  • ●休日はキャンプ、うどん店巡り

 根っからのアウトドア派で、休日はキャンプやうどん店巡りを楽しんでいます。社内、社外の人を問わず一緒に遠出したり、一人で出かけることも。集中力が求められる仕事で、根を詰めてやらないといけない時も多いので、その意味では良い気分転換になります。良い気分転換は仕事上の良いアイデアにもつながるというのが、僕の実感です。

 

  • ●「小原文庫」誕生のきっかけは僕です

 歴史が好きで、高校時代は学校でもよく本を読んでいました。ある時、本を開いていたら、特進担当の小原先生が「君は本が好きなのか」と声をかけてくださって、「私の本を自宅から持ってくるからいつでも読みなさい」と。最初に読ませてもらったのは百田尚樹さんの「海賊とよばれた男」だったのを思い出します。気がつくと教室の後ろの収納ボックスの上に本棚が置かれ、10冊、20冊と増えていきました。

 今年の夏、特進の20周年同窓会で久しぶりに校内を見学したら、「小原文庫」が教室の前のエレベーターホールいっぱいに広がっていて、「むちゃくちゃ進化したな」と驚きました。さまざまなジャンルの本や雑誌が数百冊、いや千冊は優に超えていたかな。自分がきっかけだと思うと、うれしくなりました。

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  • ●スマホが友達って、もったいない

 高校時代によく遊んだ友人とは今も交流が続いていて、いろいろと相談に乗ってくれます。自分一人では解決できないことって、学校でも社会でもたくさんあると思いますが、そんな時に話し相手がそばにいることはとても重要。勉強はもちろん大事ですが、友達との交流も大事にしてください。スマホで交流するのも悪くはありませんが、ぜひ直接会って遊びや相談ができる相手を見つけてください。Z世代にはスマホが友達という人が増えていますが、もったいない。

 もう一つ、息抜きできる趣味を持つこと。オンとオフの切り替えを上手にやることは勉強でも仕事でも役立つと思います。                  

       

          (令和6年11月取材)